夢に向かって、その9

●ハーフパイプ

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ゼロ戦は知っていても、九九式艦上爆撃機ってご存知ないですよね。
プラモ少年だった私は、知っているのです。

今の空爆というのは、地上から高射砲を撃っても届かない超高度から、コンピューターを使って狙いを定めて爆弾を落とす、というより、誘導弾ロケットを打ち込みます。
昔はコンピューターなんてないから、カンで爆弾を落としますが、やっぱり当たる確率は低いわけ。

爆弾かかえて飛行機ごと突っ込む“特攻隊”は別として、高いところから爆弾落としても当たらないのだったら、下まで降りて行って爆弾落としたら確実に当たるやんか、は、下からの雨あられの砲撃で撃ち落とされる可能性あり。

先の大戦中の戦艦からの砲撃は機構上「真上には撃てない」ので、だったら、真上から突っ込んで爆弾落として、すぐにまた真上に上がって逃げる「垂直降下&上昇攻撃」がベスト。

でもこれが

・機体が丈夫でないと無理
・操縦士の技量が普通では無理

の二重苦で、操縦士の技量はさておき、この急降下爆撃の目的のために特別に頑丈に作られたのが九九式艦上爆撃機なの。

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さて技量の方ですが、上から落ちてきていきなりUターンして、また上へ行くんでしょう。
Uターンの一番底の部分の瞬間なんて、体にかかる“重力加速度のG”は凄まじいものがあって、気を失いそうなその中で

・操縦かんをコントロールする→操縦に専念する
・爆弾を上手にタイミングよく落とす→爆弾落とすのに専念する
・だから二人乗りなの

をやるの。

これはもう、気力体力に想像を絶するものが必要でしょうね。
毎日、腕立て100回、ヒンズースクワット200回、のレベルではとても無理。

さてさて、女子部で一番ビックリしたのが、ハーフパイプのラインがまったく行けない事です。
ハーフパイプって、スノボーやスケートボードでよく見るU字 溝の降りて、またすぐに登るやつですね。

セクションのライン的に「急坂を降りて、いきなり急坂を登る」んで、九九式艦上爆撃機の垂直急降下爆撃の足元にも及ばないでしょうが、まあ、これによく似たものと考えてください。

女子部の場合、下りと上りは別物と考えているみたいで、これが連続となるとなかなかどころか、下に降りて終わり。
特に下りに“根性がいる”下りだと、降りて、すぐに登りはとてもじゃないけど、下るだけで精一杯。
一番の問題は「下りでブレーキをかけて降りる」ので、降りてすぐの加速はゼロ。

まあお嬢さんたちに言わせると「下るのに精一杯で、次の登りまでは・・・」「腕の力がないので、加速して下ると下で顔を打ちそう」だって。
背の高いあやこ嬢に「お前は背が高いから、顔を打たないでいいじゃないか」と言えば「胸が貧乳だからやっぱり痛い」なんて、わけのわからんことを言いよる。

こんなん、タイミングとテクニックで解決できる以前に、そもそもが怖がるんで「思いっきり行け」と申しましても無理。
で、怖がらないガキ時分から、徹底してこれをやらすカリキュラム。

これがハーフパイプラインかと問われれば、そうである、とは言い難いのですが、まずは最初はこんなもんから始めます。

1番の陸は上手に下りと登りの体の前後移動が出来ています。

2番の陣は、なかなか体の前後の動きが硬くて、登るのに精一杯みたい。

RTL50Sのホイル径からすると、結構な下りで、すぐにややオーバーハング気味の登りのライン。
「下りで加速をする」を見事にやっています。

このハーフパイプ、動画で見るよりも実際はけっこう難しくて、フルサイズのバイクに乗る現役の女子部でも

・メーテル→クリーン
・和江→1点
・智恵子と真弓→まったく行けず
・綾子→やらさず

の成績。

原因はインにあって、やや左に自分からターンし落ちながらの下りで、この処理を上手にやって、なおかつ同時に加速しないと登れない登り。

下りでブレーキをかけながら下るのはごく普通だけど、下りの途中から加速をするのはなかなか難しいものですね。

1番陸と2番陣は、ともに下りの途中から加速するとき、後ろブレーキを踏んでいる右足をペダルの上から右側に、上手に水平移動させて逃がしているのがよく分かります。

自転車からバイクに乗り換えての違いは、操作的には

・クラッチ
・チェンジ
・後ろブレーキ

の三つ。

このうち後ろブレーキは、履き慣れていない硬い重いブーツを履いているんで、最初は右足にギブスを巻いている感覚になるのか、なかなか使いずらそうで、事実、前ブレーキだけでごまかしてなかなか使いたがりません。

ここで怒涛の鬼コーチの出番で「後ろブレーキ!!後ろブレーキ!!後ろブレーキを使わんかぁ〜」と、怒鳴りを入れるのが肝要なりけり。

「本人の好きにまかせたら〜♪」は、今の親にとっては理想なんだろうけど、やっぱり何事も「うるさいの」がいないと進歩はしませんね。

本日はここまででおしまい、また明日には書けるかな〜♫